クラスだより 2020年10月

暑かった夏も終わり、季節のうつろいを肌で感じる頃となりました。
先日、二つの発表会を行いました。
一つめは、入会して三か月余りの小2S君の『ガンピーさんのえんそく』でした。
ご自宅で毎日CDをしっかり聴いて音読してきたS君は、テキストを丸々暗記し、発音も申し分ありません。劇の練習では、場面設定や進行についてもすばらしい提案をしてくれました。主体的な学びの姿勢が光っているS君は、発表会当日も生き生きと演じ、観に来てくださったお母さまも、歌に合わせて身体でリズムをとって、応援してくださいました。「セリフがとても上手でびっくりしました」という嬉しいご感想も頂きました。
今月から読み始めた二冊目のテキスト『三匹のクマ』でも、どんどん単語が読めるようになってきています。毎週S君はレッスンに来ると、音読しながら読めるようになったところに自分でピンクのラインマーカーを引いていきます(これは、S君のアイデアです)。ピンクのラインでテキストが埋まる日も、もうすぐです。

二つめの発表会は、小4のR君の劇でした。教材は、初めて取り組んだ語順訳で読み込んだ『うすのろジャッカル』。R君の英文テキストには、主語、動詞、目的語、補語がカラフルに色分けされ、見開きの右側には、R君の手書きの訳文が丁寧に書き込まれています。登場人物が怒りをあらわにしているセリフには、絵文字もつけてくれています。
今回は、とても嬉しいことがありました。昨年度、英検準二級を取得して受験体制に入った中三のF君が、レッスン日が同じということもあり、発表会の助っ人を買って出てくれたのです。当日、リハーサルの時間に合わせて来てくれたF君は、どうしてもセリフがつかえる箇所を、何度も丁寧に優しく指導してくれました。R君は、これまで以上に真剣なまなざしで繰り返し練習し、自信を得たようでした。本番でF君は、BGMと、セリフが詰まったときのサポートを引き受けてくれました。

この日はR君のお父さま、お母さま、妹さんが揃って観に来てくださいました。R君は緊張しながらも、登場人物のセリフまわしを感情たっぷりに、抑揚をつけて上手に発表してくれました。一人何役もこなしながらの長い劇でしたので、たまにセリフに詰まることもありましたが、R君が何より素晴らしかったのは、そんなとき、セリフの内容を頭の中で再構成して、自分なりに英語で表現しようと果敢に試みてくれたことでした。思っていることを、自分が持っているものを総動員して、大事なポイントはしっかり伝えることができていたR君の臨機応変な編集力に脱帽しつつ、切実さを伴うコミュニケーションで発揮される底力を見る思いでした。
劇が終わったあとは、今回初めて発表会をご覧になったお父さまも「驚きました!」と、R君のパフォーマンスに深く感じ入っていらっしゃいました。
F君は、かつて3人の仲間と発表した『うすのろジャッカル』を懐かしく思い出しながら、「ぼくたちが小5で取り組んだこの劇を、R君がほぼ一人で演じきったことに驚き、小4とは思えない凄さを感じました。これからも頑張ってほしいです」と温かいエールを送りました。
中学生のF君が自ら進んで関わってくれたR君の発表会は、私にとりましても、いつにも増して忘れられない一日となりました。こうした学年のクラスを超えた縦の交流が、これからも広がっていくことを、願っております。